診療支援
治療

急性骨髄性白血病
acute myeloid leukemia(AML)
富澤大輔
(国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科・診療部長)

治療のポイント

・Down症関連,急性前骨髄球性白血病,その他の3病型に分けて治療する.

・治療は小児血液・がん専門医のもとで,臨床試験に参加あるいは十分なエビデンスのある治療プロトコールに基づいて行う.

・治療の基本は多剤併用化学療法だが,適切なリスク層別化を行い,高リスク群に対しては第1寛解期に同種造血幹細胞移植を実施する.

・感染症対策など適切な支持療法を行う.

・心毒性など晩期合併症のフォローアップを行う.

●病態

・急性骨髄性白血病(AML)は,骨髄系造血細胞に遺伝子異常が蓄積した結果生じた芽球が,自律的かつ無秩序に増殖することで発症する造血器悪性腫瘍である.

・病因として特別な背景因子がなく発症するもの,Down症などある種の先天性疾患を背景に発症するもの,骨髄異形成症候群に関連して発症するもの,化学療法や放射線治療後に発症するものがある.

・骨髄以外の部位に骨髄系芽球が腫瘤形成することがあり,骨髄肉腫(myeloid sarcoma)とよばれる.

・診療にあたっては日本小児血液・がん学会編の「小児白血病・リンパ腫診療ガイドライン2016年版」を参照のこと.

●治療方針

 AMLの治療は高度の専門性を必要とし,小児血液・がん専門医のもとで臨床試験に参加あるいは十分なエビデンスのある治療プロトコールに基づいて行う.通常,Down症に関連したAML(ML-DS:myeloid leukemia associated with Down syndrome),急性前骨髄球性白血病(APL:acute promyelocytic leukemia),その他のAML(de novo AML)に分けて治療を行う.

 治療の主体は多剤併用化学療法であり,寛解導入療法と強化療法に分かれる.既知の予後因子(白血病細胞の遺伝子・染色体異常,早期の治療反応性など)により再発リスクを評価し,それに基づく層別化治療

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