●病態
・胚細胞腫瘍は乳幼児から若年成人までの幅広い世代の,身体の正中を中心に発生する多様な組織病理からなる腫瘍の総称である.摘出術のみで十分な良性腫瘍から,術後化学療法を行っても救命できないこともある悪性腫瘍まで,臨床経過もさまざまである.
・本項では,頭蓋内発生を除く胚細胞腫瘍について,米国国立がん研究所のPDQ(Physician Data Query)および日本小児血液・がん学会の「小児がん診療ガイドライン2016年版」に則り,その治療指針を概説する.
●治療方針
頭蓋外胚細胞腫瘍は,性腺(精巣・卵巣),性腺外という原発部位,良性か悪性かという組織学的分類,腫瘍の広がりである病期ステージ,そして発症年齢によって治療方針が決まる(表1図).また血中の腫瘍マーカー〔AFP(αフェトプロテイン)およびβHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)〕が診断,亜分類,治療効果判定に有用であり,治療開始前およ
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