診療支援
治療

無症候性血尿蛋白尿症候群
asymptomatic hematuria,asymptomatic proteinuria
田中征治
(久留米大学小児科学・講師)

●病態

・痛みや違和感や浮腫などを伴わず,血尿や蛋白尿を認めるものである.3歳時検尿や学校検尿での指摘や偶発的に肉眼的血尿を呈した際に発見される.

A.原因

・血尿は糸球体性血尿(ドーナツまたは有棘赤血球変形感度74.6%特異度90.6%)と非糸球体性血尿(上下部尿路由来)に分けられる.糸球体性は腎炎や腎症などが原因となるが,小児の非糸球体性は膀胱炎や結石やナットクラッカー現象や腫瘍などであり程度により肉眼的血尿になることが多い.肉眼的血尿の際には糸球体性のときには暗赤褐色や緑色様血尿や鮮血などさまざまであるが,非糸球体性は鮮血であることが多い.

・蛋白尿は蛋白尿単独であれば小学生以上では体位性や濃縮尿(思春期)が多く,腎低形成や遺伝性腎疾患が原因の鑑別となる.

B.予後

・蛋白尿のほうが血尿より腎予後を悪化させる因子になる.しかし,Alport(アルポート)症候群など,小児期には血尿だけであるが成人期に蛋白尿も認め腎不全になる疾患もあり,小児期だけでの判断には注意が必要である.

●治療方針

・血尿単独,蛋白尿単独,血尿蛋白尿の3カテゴリーに分けて診療方針を検討するとよい.

・血尿や蛋白尿の異常があるときには一度はエコーを行うことが推奨される.

・治療は各原因に合わせて行う.

A.血尿単独

 早朝尿で潜血1+以上または沈渣でRBC5/HPF以上で診断する.検尿は採取後4時間を超えるとRBCが壊れるため注意が必要である.女児では検尿再検で外陰炎などによる潜血を除外するためにも,採尿時には陰部を拭いたあとの中間尿がよい.パック尿であれば貼る前に外陰部を観察し,炎症があれば治癒後の再検査とする.

 潜血単独であれば早急に治療が必要な疾患はまれであり,再検の間隔は3か月に1回で1年間行い,その後半年ごとのフォローでよいと考える.半年持続すればいったん専門医への紹介を検討する.

B.蛋白尿単独

 早朝尿の蛋白1+

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