診療支援
治療

慢性腎臓病
chronic kidney disease(CKD)
濱田 陸
(東京都立小児総合医療センター腎臓内科・医長)

治療のポイント

・小児慢性腎臓病(小児CKD)を適切に診断するためには,年齢および性別により異なる小児血清Cr基準値の把握と,腎機能障害程度の把握が必要である.

・成人CKDとは構成疾患が異なり,原因疾患の約90%が非糸球体性疾患に起因し,そのうち約70%を先天性腎尿路異常(CAKUT)が占める.

・健常児と遜色のない成長発達をし,社会生活を送れるよう,将来を見据えた腎不全治療計画を話し合うことが重要である.

●病態

・慢性腎臓病(CKD)の定義は,①腎障害を示唆する所見(検尿異常,画像異常,血液異常,病理所見など),②糸球体ろ過量(GFR:glomerular filtration rate)60mL/分/1.73m2未満,のいずれかが3か月以上持続することである.

・そのためCKDには腎障害を呈する多種多様な疾患が含まれることとなる.成人CKDの代表的疾患は糖尿病性腎症,腎硬化症,慢性糸球体腎炎であるが,小児CKDの原因疾患の実に91.1%が非糸球体性疾患であり,そのうちの68.3%が低形成・異形成腎を中心とする先天性腎尿路異常(CAKUT:congenital anomalies of the kidney and urinary tract)である.

・CKDでは腎機能障害の進行に伴い,電解質・体液異常(高カリウム,高リン,代謝性アシドーシス),心血管系合併症(高血圧,心機能障害),CKDに伴う骨ミネラル代謝異常〔CKD-mineral and bone disorder(CKD-MBD),二次性副甲状腺機能亢進症,くる病,異所性石灰化〕,腎性貧血などの全身合併症を生じる.

・小児CKDでは,CAKUTに起因する多尿・塩類喪失(近位尿細管機能障害)や泌尿器科的合併症,全身合併症としての成長障害に特に留意が必要である.

・現在,「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」,「低

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