移植臓器にはドナーの愛情や期待が託されており,さらにそのチャンスは限られているため失敗は許されない.そのため腎移植に際しては,周到な移植前準備,万全の術中・術後管理,そして注意深い外来管理が必要である.
A.移植前準備
1.ワクチン接種
免疫抑制薬服用中は生ワクチンの接種ができないため,移植前に接種し,抗体獲得を確認する.
2.原因疾患・合併症の把握
原因疾患・合併症に応じた移植前治療(例えば膀胱尿管逆流を伴う低・異形成腎では移植後感染巣となりうるため,術前や術中に摘出,重篤な下部尿路障害を伴う場合には導尿ストーマを作成など)が必要である.
3.その他
術中に水分負荷を要するため心肺機能のチェック,移植腎動静脈血管吻合予定部位の血管異常の有無(下大静脈の閉塞など),移植後に原病が再発するリスクの評価(巣状分節性糸球体硬化症や補体関連溶血性尿毒症症候群など)等々,移植前の精査が重要である.
B.術中
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