診療支援
治療

腎移植
kidney transplantation
服部元史
(東京女子医科大学腎臓小児科学・教授)

 移植臓器にはドナーの愛情や期待が託されており,さらにそのチャンスは限られているため失敗は許されない.そのため腎移植に際しては,周到な移植前準備,万全の術中・術後管理,そして注意深い外来管理が必要である.

A.移植前準備

1.ワクチン接種

 免疫抑制薬服用中は生ワクチンの接種ができないため,移植前に接種し,抗体獲得を確認する.

2.原因疾患・合併症の把握

 原因疾患・合併症に応じた移植前治療(例えば膀胱尿管逆流を伴う低・異形成腎では移植後感染巣となりうるため,術前や術中に摘出,重篤な下部尿路障害を伴う場合には導尿ストーマを作成など)が必要である.

3.その他

 術中に水分負荷を要するため心肺機能のチェック,移植腎動静脈血管吻合予定部位の血管異常の有無(下大静脈の閉塞など),移植後に原病が再発するリスクの評価(巣状分節性糸球体硬化症や補体関連溶血性尿毒症症候群など)等々,移植前の精査が重要である.

B.術中

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?