●病態
・急性腎障害(AKI)は,急激な腎機能の低下により,窒素代謝物の貯留,水電解質バランスの異常,および酸塩基平衡の破綻をきたした状態である.AKIの早期発見・早期治療は成人のみならず小児においても予後改善に重要である.
●治療方針
AKIの適切な管理のために最も重要なことは発症予防であるが,発症した場合にはすみやかな診断と進行予防のための治療が必要となる.診断については「AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016」のなかで「生後3か月以降の小児に対してはKDIGO(Kidney Disease Improving Global Network)診断基準が有用である」と述べられている(詳細はガイドラインを参照).しかし,その際小児では年齢ごとの血清クレアチニン(sCr)の基準値が異なることに留意する必要があり,Uemuraらにより確立された日本人小児のsCr基準値(表1図)を把握し,軽微なsCrの上昇を見落とさないことが重要である.また,小児腎臓病学会が作成した「小児CKD-eGFR計算」スマートフォンアプリは,年齢,身長,血清Cr値よりeGFRが計算できる有用なツールであり参考にされたい(Android,iPhoneともに使用可能である)(j-ka.or.jp/ckd/app.php).
A.AKI治療の基本的な方針(保存的治療と管理)
AKI治療の基本は,可及的すみやかな原因の鑑別と対症療法である.対症療法は主に,循環血液量の管理(適切な体液量と腎灌流量の維持),電解質・酸塩基平衡の管理,腎毒性薬剤の中止,適切な栄養確保および合併症の予防である.しかし,これらの保存的治療に抵抗性で生命を脅かす下記の状態に陥った場合は,躊躇なく次のステップへ進むべきである.
B.腎代替療法(RRT:renal replacement therapy)の適応疾患の実態
2007~2008年2
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