診療支援
治療

慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常
chronic kidney disease mineral and bone disorder(CKD-MBD)
荒木義則
(国立病院機構北海道医療センター小児腎臓病センター・医長)

●病態

・慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)は栄養摂取不良,蛋白・アミノ酸代謝異常,酸塩基異常,電解質異常などと関連して成長障害の原因となる.また骨病変のみならず心血管系の石灰化につながり,QOLや生命予後にも関連する可能性がある.

●治療方針

 CKDステージG2から血清カルシウム(Ca),リン(P),intact PTH,ALP,重炭酸イオン濃度,身長,体重の継時的なモニターを行い,必要に応じて小児腎臓専門医へのコンサルトを検討する.成長障害の診断には成長曲線,成長率曲線が重要である.CKDにおいては早期からの介入で末期腎不全への進展抑制が期待される.CKDステージG3以上では,成長障害をきたす可能性があるため小児腎臓専門医・専門医療機関への紹介が望ましい.

 血清Ca値,P値の管理目標として,すべてのCKDステージで年齢相当の正常範囲内に維持することが望ましい.血清Ca×P積の管理目標は,CKDステージG3~5において,12歳未満は65mg2/dL2未満,12歳以上は55mg2/dL2未満である.血清intact PTH値は,CKDステージG3までは正常範囲内,G4は100pg/mL以下,G5,5Dでは100~300pg/mLを管理目標とする.CKDステージが進行して血清P値が年齢相当の正常上限を超える場合には,P摂取量の制限を開始する.ただし栄養面からは過度の蛋白質摂取制限はすべきではないため,栄養士との連携が必要である.

 高リン血症および副甲状腺機能亢進症の治療には,活性型ビタミンD製剤および炭酸カルシウムを用いる.カルシウム非含有リン吸着薬であるセベラマー塩酸塩や炭酸ランタンは小児への投与に関して保険適用がないが,下記処方で治療困難な場合は使用されている.

Px処方例 下記のいずれかまたは両方を用いる.

➊カルタン細粒・錠 1回0.03~0.04g/k

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