●病態
・腎機能が正常(ほぼ正常)の状態で,アニオンギャップ正常の代謝性アシドーシスを呈する.
A.遠位尿細管性アシドーシス(Ⅰ型RTA)
・集合管α間在細胞における管腔への酸(H+)分泌障害が原因で,著しい酸血症下でも尿pHが5.5以下にならない.
・低カリウム(K)血症は必発で,高カルシウム(Ca)尿症や低クエン酸尿症のため,腎石灰化や腎結石を高頻度で合併する.
・遺伝性には,常染色体劣性遺伝と優性遺伝があり,前者は体重増加不良で気づかれ,感音性難聴を合併することがある.後者は年長児や成人期に腎結石や,低K血症に由来する筋力低下や脱力などで発見される症例が多い.
・臨床では,自己免疫疾患Sjögren(シェーグレン)症候群などや薬剤性の二次性遠位尿細管性アシドーシス(dRTA:distal RTA)が多数を占める.
B.近位尿細管性アシドーシス(Ⅱ型RTA)
・近位尿細管でのHCO3-の再吸収障害が原因である.
・小児では,近位尿細管の全般的機能障害であるFanconi(ファンコニー)症候群の部分症としてみられることが多く,低K血症,汎アミノ酸尿,尿糖,高リン(P)酸尿,高尿酸尿や低分子蛋白尿を伴う.
・基底側膜に局在するNa+/HCO3-共輸送体の異常によるⅡ型RTAでは,眼症状や頭蓋内石灰化などを認める.
C.高K血症性尿細管性アシドーシス(Ⅳ型RTA)
・アルドステロンの欠乏または作用低下に起因するRTAで,高K血症を呈する.
・臨床上は,乳児期に尿路異常や尿路感染症に続発する偽性低アルドステロン症(PHA:pseudohypoaldosteronism)によるものが多い.
・遺伝性では,PHA Ⅰ型(全身型と腎型)とⅡ型が重要である.
●治療方針
A.Ⅰ型RTA
治療の根幹はアルカリ補充である.KとHCO3-を同時に補えるウラリットが頻用される.成人では1~2mEq/kg/日の補充で十分だが,
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