●病態
・低カリウム(K)血症,代謝性アルカローシス,高レニン・高アルドステロン血症などを特徴とする先天性尿細管機能異常症で,尿細管上皮細胞に発現するチャネルあるいは輸送体をコードする遺伝子の異常により発症する.
・Bartter(バーター)症候群(BS)は病因遺伝子により1型から4b型に分類される.
・BSとGitelman(ギテルマン)症候群(GS)の差異は低マグネシウム(Mg)血症と低カルシウム(Ca)尿症の有無で,臨床的にはGSのほうがより軽症であると考えられてきた.しかし実際には非典型例が多く存在するため,遺伝子診断なしにこれらを判別することは困難である.
●治療方針
根治療法はない.まず第一に,2次的要因やほかの先天異常などに伴う偽性BS/GSを除外する.偽性BS/GSの頻度は意外に高い.第二に,主要徴候以外の臨床所見(出生歴や腎石灰化,低Mg血症,低Ca尿症,成長障害など)を参考にBS/GSの診断を確実にする.第三に,遺伝子診断の必要性を検討する.
A.電解質異常に対して
Px処方例 低K血症に対してまず➊もしくは➋を用いる.補正に難渋する場合は➌,➍を順に追加もしくは変更する.多尿のコントロールを要する場合は腎機能に注意し,➎を用いる.低Mg血症を合併する場合は➏を用いる.
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