治療のポイント
・治療前の血清において,抗AQP4抗体もしくは抗MOG抗体(民間会社で受託可能)を測定することが望ましい.
・急性増悪期の治療の第1選択であるステロイドパルス療法は,抗AQP4抗体もしくは抗MOG抗体の測定結果によらない.
・抗AQP4抗体もしくは抗MOG抗体陽性の場合は治療方針が多発性硬化症と異なるため,専門医に治療方針をコンサルトする.
●病態
・中枢神経の炎症性脱髄疾患で,時間的多発性と空間的多発性を満たす原因不明の疾患である.
・広用されているMcDonald診断基準(2010年改訂)が,近年さらに改訂された(2017 McDonald診断基準:The Lancet Neurology).
・脳・脊髄MRIのほか,髄液のオリゴクローナルIgGバンド陽性が診断に有用である.
・抗MOG抗体関連脱髄疾患や抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)との鑑別が重要である.
・全経過中にみられる主な症状は,視力障害,複視,四肢の麻痺(単麻痺,対麻痺,片麻痺),小脳失調,歩行障害,感覚障害,膀胱直腸障害などである.髄膜刺激症状,意識障害,けいれんなどの脳炎・脳症類似の急性症状は小児に特有とされる.Uhthoff(ウートフ)徴候(体温の上昇に伴う神経症状の一過性の悪化),有痛性強直性攣縮,Lhermitte(レルミット)徴候なども特徴的である.
●治療方針
重要なのは,治療前の血清を保存したうえで,急性増悪期に対する治療を開始することである.急性期を脱することができない場合の治療法の選択や,急性増悪期を脱したあとの再発予防策の選択において,保存した血清が有用となる.
A.急性増悪期
a)から順に試みる.
a)下記のステロイドパルス療法を行う.
Px処方例
ソル・メドロール薬注 1日20~30mg/kg(成人量1日500~1,000mg) 点滴静注 3~5日間
b
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