●病態
・脳血管の閉塞・狭窄により血流が低下し脳機能障害を呈する状態で,症状が突然で激烈な場合は,ほかの原因も含め脳卒中ともよばれる.
●治療方針
発症後の経過時間に応じた対応がとられる.小児ではまれなため,超急性期再灌流療法の安全性は確立されていないが,思春期例では成人同様に対応できる可能性がある.ただし,その実施は再灌流療法に精通した医師を中心に,小児科医,麻酔科医などが協働して対応できる施設に限定される.
A.超急性期再灌流療法
rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法と脳血管内治療が検討される.
Px処方例 対象は発症24時間以内の症例.
グルトパ薬注 34.8万IU/kg(0.6mg/kg)〔最大3,980万IU(60mg)〕(成人量) 総投与量の10%を1~2分間で静注し,残りを1時間かけて点滴静注
B.急性期治療
呼吸循環動態を安定させ,脳保護療法,抗血栓療法,抗浮腫療法,リハビリテーションが開始される.
1.脳保護療法
Px処方例 対象は発症24時間以内の症例.
ラジカット薬注 1回0.25~0.5mg/kg(最大1回30mg) 1日2回 30分かけて点滴静注(14日間以内)
2.抗血小板療法
非心原性脳梗塞で選択する.
Px処方例 発症48時間以内に下記の➊を開始する.➊が禁忌の場合,➋または➌を使用する.亜急性期まで➊と➋の併用も推奨されている.➌は発症5日以内に開始する.非心原性脳梗塞の急性期後の再発予防としても,➊➋のいずれかを継続する.
➊アスピリン薬末 1回3~5mg/kg(成分量として)(成人量160~300mg) 1日1回
➋プラビックス薬錠(75mg) 1回1錠(成人量) 1日1回
➌カタクロット薬注 1回80mg(成人量) 1日2回 2時間かけて点滴静注(14日間以内)
3.抗凝固療法
心原性脳梗塞で選択する.
Px処方例 ➊を単剤で用いるか,➋➌を併用する.急性期後の再発
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