Ⅰ.強迫性障害
●病態
・反復的で侵入的な思考(強迫観念)と,それを打ち消すために反復して行われる行動(強迫行為)を主徴とする障害.
・通常,症状に対して不合理性の自覚と自我違和感を伴う.小児では洗浄強迫が圧倒的に多く,確認強迫がそれに次ぐ.
●治療方針
A.心理社会的治療
1.心理教育
強迫観念に基づく不安は,強迫行為を行うと一時的に低下するものの,しばらくすれば再び不安が強くなり強迫行為をせずにはいられなくなる.したがって治療のためには,不安を下げるためにしていた強迫行為をあえてしないことが大切であることを患児・家族に説明する.
また,家族などへの巻き込みに対しては言いなりになるのではなく,枠づけ制限が必要であることも伝えていく.
2.曝露反応妨害法
強迫観念の対象をその不安の度合いによってランクづけし,不安の低いものから曝露し,かつ強迫行為をしないように指導する.まず診察場面で行い,家でも練習してもらうことで,順に克服していく.
B.薬物療法
教科書的には選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用が推奨されているが,筆者の印象としては効果のある例は少ない.この場合,少量の抗精神病薬を用いることがある(ただし保険適用外).
Px処方例
エビリファイ薬錠(1・3mg) 1回1~3mg 1日1~2回(最大量6mg)
■専門医へのコンサルト
・日常生活が滞ったり周囲への巻き込みが強い場合には,専門医に紹介する.
Ⅱ.パニック障害
●病態
・反復性のパニック発作を特徴とする障害.死・発狂・自制を失うことなどへの恐怖が突然起こり,動悸・呼吸困難・胸部絞扼感・悪心・めまい・震え・発汗などの身体症状を伴う.
・また発作が起こるのではないかという予期不安と,広場恐怖を伴うことが多い.
●治療方針
A.心理社会的治療
1.心理教育
パニック障害の症状は重篤に感じられるが,実際には生命に危険を及ぼすものではないこと,治