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治療

予防接種(定期接種)
immunization(routine immunization)
神谷 元
(国立感染症研究所感染症疫学センター第一室・主任研究官)

 定期接種は予防接種法に基づき市町村(特別区を含む)長が公費(一部で自己負担あり)を用いて実施する.定期接種は集団予防を目的とする感染症(A類疾病)と個人予防を目的とする感染症(B類疾病)に分類されるが,後者は高齢者を対象としたインフルエンザワクチン,成人用肺炎球菌ワクチンであるため本項では割愛する.また,予防接種実施に際して注意すべき点(予診票の確認,ワクチンの管理,接種不適当者・要注意者,副反応発生時の対応と報告,予防接種の記録の保存,キャッチアップスケジュールなど)については成書〔「予防接種ガイドライン」(予防接種リサーチセンター)など〕を参照のこと.

 以下標準的な接種時期に基づいて乳児期(生後1歳に至る前日まで),幼児期(就学時まで),小児期(学童)に分けて記す.

A.乳児期に必要なワクチン

 接種するワクチンが多く,かつそれぞれの接種間隔が異なるため同時接種などをうまく活用し,標準的な接種期間で接種できるようにスケジュールを立てることが望ましい.

a.組換え沈降B型肝炎ワクチン

 a)生後2~9か月までの期間に3回(27日以上間隔をあけて2回,第1回目の注射から139日以上あけて1回).

 b)HBs抗原陽性の母から生まれた児で,抗HBsヒト免疫グロブリンの投与に合わせてB型肝炎ワクチンの投与を受けた場合については定期接種の対象者から除く.

b.乾燥ヘモフィルスb型ワクチン

 a)初回接種開始時の月齢によって接種回数,スケジュールが異なるため注意が必要.

 b)生後2~7か月に至るまでに接種を開始した場合,生後12か月に至るまでに3回(27日以上の間隔をあけて),初回接種終了後7か月以上で追加接種1回.

 c)生後7か月に達した翌日から12か月に至るまでに接種を開始した場合,生後12か月に至るまでに2回(27日以上の間隔をあけて),初回接種終了後7か月以上で追加接種1回.

 d)生後

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