A.接種後の副反応
予防接種後には好ましくない身体反応が起こることがあり「有害事象」とよぶ.有害事象は一定の割合で起こり,予診を尽くしてもすべてを防ぐことはできない.有害事象を大別すると,ワクチンが原因である「副反応」と,ワクチン以外の原因による「紛れ込み」がある.例えるならば副反応が真犯人とすれば,紛れ込みは無実の罪,えん罪である.
これらを厳密に区別することは困難であるが,重大な紛れ込みをワクチンによる副反応と誤ると,その影響は計りしれない.当事者である被接種者や保護者に「予防接種さえ受けていなかったら」という無用の精神的負担を負わせて,標準的治療の拒否につながることになりやすい.社会的にも予防接種の勧奨や接種に支障をきたすことになりかねないので,副反応の診断や報告は慎重でなければならない.
弱毒生ワクチンでは,接種後数日から2,3週間後に,病原体由来の成分による当該疾患の症状に類似す