診療支援
治療

検尿システムと腎疾患管理
school urine screening program and management of renal diseases
大友義之
(順天堂大学医学部附属練馬病院小児科・先任准教授)

A.学校検尿のシステム

 小学校1年生から,毎年,学校での集団検尿(1次検尿)を行う.早朝第一尿で,試験紙を用いた検査を行い,尿蛋白1+以上and/or尿潜血1+以上を異常所見とし,同一項目で再検査(2次検尿)を行い,2回連続で異常所見を認めた場合,有所見者として精密検診(3次検診)を行う.

 3次検診では,診察,家族歴や既往歴などの問診,身体測定(身長・体重:血圧),早朝第一尿と来院時尿の検査(定性,沈渣,尿蛋白/クレアチニン比),血液検査(蛋白,アルブミン,クレアチニン,尿素窒素,補体C3など)を行い,その結果をもとに暫定診断を行う.

 暫定診断名は,①異常なし,②無症候性蛋白尿,③体位性蛋白尿,④無症候性血尿,⑤無症候性血尿・蛋白尿:腎炎の疑い,⑥白血球尿:尿路感染症の疑い,⑦その他,である.

B.4次精査の内容

 3次検診での有所見者は10万人あたり,小学生は約730人,中学生は約980人,高校生は約1,080人であり,4次精査を施行する.4次精査においては,①血算,②血液生化学(総蛋白,アルブミン,尿素窒素,クレアチニン,尿酸,ナトリウム,カリウム,クロール,カルシウム,リン),③血清(IgG,IgA,IgM,CH50,C3,C4,ASO,抗核抗体,HBs抗原,HCV抗体),④一般検尿(早朝第一尿,来院時尿),⑤尿中カルシウム,尿中クレアチニン,⑥尿中β2ミクログロブリン,⑦腹部超音波検査などを行う.

C.3次検診有所見者の管理

1.血尿のみ呈する患児の対応

 血尿単独陽性者の約6割が遺伝的背景を欠く無症候性血尿であり,1年以内にその約半数が消失する一方,2~3割は家族性血尿で,その大半は予後の良好な良性家族性血尿(菲薄基底膜病)であるが,遺伝性腎症を呈するAlport(アルポート)症候群(頻度1/5,000)の鑑別が重要である.

 4次精査での問診では,家族の血尿や尿路結石症の有

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