診療支援
治療

良性骨腫瘍
benign bone tumors
中山ロバート
(慶應義塾大学整形外科学・講師)

●病態

・良性骨腫瘍WHO分類(2013年)には約20種類に分類されている.

・日本整形外科学会全国骨腫瘍登録(2015年)によると小児期に好発する代表的な良性骨腫瘍(狭義)には,骨軟骨腫(外骨腫),内軟骨腫,類骨骨腫,腫瘍類似疾患には単発性骨嚢腫,非骨化性線維腫,線維性骨異形成,骨線維性異形成などがある.

・骨巨細胞腫,動脈瘤様骨嚢腫,軟骨芽細胞腫,ランゲルハンス細胞組織球症(好酸球性肉芽腫症)はしばしば局所再発し,まれに遠隔転移をきたすため,中間悪性に分類されている.

・骨軟骨腫,内軟骨腫,線維性骨異形成には多発例が存在し,それぞれ多発性骨軟骨腫症,Ollier(オリエール)病,Maffucci(マフッチ)症候群,McCune Albright(マッキューン・オルブライト)症候群などがあり,小児期より骨腫瘍に伴う症状を呈することが多い.

●治療方針

 それぞれの疾患に好発年齢と好発部位があり,問診と身体所見に加えて,単純X線の所見が初期診断としてきわめて重要である.

 単純X線で骨腫瘍を疑った場合はCTやMRIを用いて精査を進めるが,画像診断だけでは骨肉腫やEwing(ユーイング)肉腫などの原発性悪性骨腫瘍との鑑別は必ずしも容易でない.生検を行うこともあるため,整形外科骨腫瘍専門医に必ずコンサルトする.骨軟骨腫や内軟骨腫(特に多発例)には悪性転化による二次性軟骨肉腫の発生が知られており,長期的な経過観察が必要となる.

 良性骨腫瘍は全例に手術を要するわけでなく,明らかに良性病変が疑われ,疼痛,関節拘縮など症状がない場合は経過観察することも多い.手術を要する場合は低侵襲に,機能障害を残さないように工夫する.

A.骨軟骨腫

 良性骨腫瘍のなかで最も発生頻度が高い.長管骨では骨幹端に好発するほか,骨盤や肩甲骨など扁平骨にも発生する.骨性隆起を形成する腫瘍で,外骨腫ともよばれるが,腫瘍の本体は最外

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