●病態
・凍瘡は一般的に「しもやけ」といわれ,冬の寒い時期に四肢末端の手指,足趾や外気に接する耳介,頬部にかゆみ,ほてり感を伴う紅斑が生じる.症状が強い場合,水疱,びらんを形成することもある.
・寒冷刺激による末梢循環障害が起こり,炎症が惹起されると考えられ,入浴時に患部が温まることでかゆみが増強することが特徴である.
・手指,足趾の場合,指趾全体が腫脹し紫紅色を呈する樽柿型と,小型の円形紅斑が指趾に多発する多型滲出性紅斑型に分けられる.
●治療方針
寒冷刺激を避け患部を保温する.濡れた手袋,靴下などは凍瘡発症の誘因となるので,その都度交換することが大切である.紅斑,びらんなど皮膚症状に応じた軟膏治療を行う.末梢循環障害やかゆみに対しては内服療法を行う.適切な治療をしても難治で瘢痕を残す場合は,全身性エリテマトーデスの皮膚症状の1つである凍瘡状エリテマトーデスの可能性があるので,抗核抗体,抗dsDNA抗体など膠原病関連の血液検査を行う.
また季節外れの凍瘡,多発性で広範囲な重度の凍瘡を診た場合は,防寒具なしでの長時間の室外放置など児童虐待の可能性を考え,丁寧な問診・診察を行い,疑わしい場合は児童相談所に通知する.
A.外用療法
紅斑,腫脹,熱感,瘙痒感の強さに応じて外用薬を決める.
Px処方例 紅斑,腫脹が軽度,瘙痒感がない場合➊を用いる.
➊ユベラ薬軟膏 1日数回 塗布
紅斑,腫脹が高度,瘙痒感,熱感を伴う手足の場合➋,頬部,耳介の場合➌を適宜用いる.
びらん,水疱を認める場合,下記➍➎のいずれかを用い,外用薬塗布後ガーゼ保護する.
B.内服療法
末梢循環の改善,瘙痒感の抑制を目的に内服薬を追加する.
Px処方例 紅斑,腫脹が中等度あり,患部が複
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/(合剤)トコフェロール・ビタミンA油《ユベラ》
- 治療薬マニュアル2024/デプロドンプロピオン酸エステル《エクラー》
- 治療薬マニュアル2024/ヒドロコルチゾン酪酸エステル《ロコイド》
- 治療薬マニュアル2024/アルプロスタジル アルファデクス《プロスタンディン》
- 治療薬マニュアル2024/ジメチルイソプロピルアズレン《アズノール》
- 治療薬マニュアル2024/トコフェロール酢酸エステル《ユベラ》
- 治療薬マニュアル2024/セチリジン塩酸塩《ジルテック》
- 今日の診断指針 第8版/手足症候群
- 今日の小児治療指針 第17版/光線過敏症
- 今日の小児治療指針 第17版/魚鱗癬
- 今日の治療指針2023年版/節足動物刺症(ハチ,セアカゴケグモなど)
- 今日の小児治療指針 第17版/色素性乾皮症
- 今日の治療指針2023年版/ハチ刺症
- 今日の治療指針2023年版/皮膚瘙痒症
- 今日の治療指針2023年版/凍瘡
- 今日の治療指針2023年版/にきび(尋常性痤瘡),酒皶
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/脂漏性皮膚炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/皮脂欠乏性湿疹