診療支援
治療

薬疹
drug rash
藤山幹子
(国立病院機構四国がんセンター皮膚科・部長)

治療のポイント

・薬剤の関与が疑われるなら,まずは原因薬剤を中止する.

・軽症・中等症では,対症療法が中心となる.

・重症薬疹では,診断確定と病態に適した全身療法が必要であり,専門医へのコンサルトを考慮する.

・原因薬剤を伝え,再投与を防ぐ.

●病態

・体内に取り込まれた薬剤に起因する皮疹で,さまざまな発疹型を呈する.

A.播種状紅斑丘疹型/多形紅斑型

・薬疹のほとんどがこのタイプであり,風疹型・麻疹型ともいわれ,全身に小型の紅斑丘疹,あるいはやや大型の円形・標的状の紅斑(多形紅斑)が多発し,左右対称性に分布する.

・使用頻度の高い抗菌薬や解熱薬が原因となることが多く,原疾患である感染症に伴う発疹との鑑別がしばしば問題となる.

・初回投与の薬剤では,5~14日の使用期間を経て発症することが多いが,抗けいれん薬では開始2か月後までは薬疹を生じやすい.

B.固定薬疹

・普段は類円形の褐色の色素沈着で,薬剤内服時に赤くなり,ときには水疱を形成する.口唇周囲が好発部位であるが,皮疹は単発のときもあれば全身に多発することもあり,多発例では同時に発熱を生じることもある.

・原因薬は,チペピジンヒベンズ酸塩,アセトアミノフェン,メフェナム酸,カルボシステイン,市販鎮痛薬であることが多い.

C.重症薬疹

・いずれも高熱を伴い,原因薬剤の中止後も悪化する.粘膜が強く障害されるStevens-Johnson(スティーブンス・ジョンソン)症候群,全身の表皮が剥離する中毒性表皮壊死症,膿疱が多発する急性汎発性膿疱性発疹症,臓器障害を伴い経過が遷延する薬剤性過敏症症候群などがある.

・小児のStevens-Johnson症候群は,マイコプラズマ感染症の合併が多いことが知られている.

●治療方針

 薬剤の関与がないかを検討し,原因薬剤として疑わしいものがあれば中止する.高度の粘膜障害の存在は,重症薬疹のサインと考える.また薬剤中止により

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