診療支援
治療

尋常性痤瘡(にきび)
acne vulgaris
黒川一郎
(明和病院皮膚科にきびセンター・部長(兵庫))

●病態

・思春期の男女に発症する毛包皮脂腺に生ずる炎症性疾患である.

・痤瘡は面皰という毛孔が角質,皮脂でつまった状態で黒色面皰(開放面皰:黒にきび)と白色面皰(閉鎖面皰:白にきび)の2種類がある.面皰から炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)へと進展する.

・病因として①皮脂分泌の亢進,②男性ホルモンなどの内分泌的因子,③毛包漏斗部の角化異常,④にきび菌の増殖と炎症が重要と考えられている.

・好発年齢は男児で13~14歳,女児で12~13歳に発症する.

・好発部位は顔面,前胸部,上背部である.

●治療方針

 急性炎症期(原則3か月まで)は炎症性皮疹が主体なので,炎症性皮疹に効果のある過酸化ベンゾイル(BPO)製剤(ベピオゲル)外用,抗菌薬(ルリッド)内服・外用で炎症性皮疹を早く改善させる.急性炎症期で重症→中等症→軽症へ改善がみられ,炎症性皮疹がほぼ消失すれば,維持期の治療へ移行する.

 維持期(原則3か月以降)は面皰が中心の治療なので,BPO,BPO/アダパレン配合剤,アダパレン(ディフェリン)でコントロールする.

 施術としては面皰圧出も有効である.またスキンケアとして洗顔は重要で,1日2回の洗顔が推奨されている.

Px処方例

 (急性炎症期)下記➊➋を併用する.

➊ベピオゲル 1日1回 就寝前塗布

➋ルリッド錠(150mg) 1回1錠 1日2回 朝・夕食後

 (維持期)

➌ディフェリンゲル 1日1回 就寝前塗布

A.特殊な痤瘡

1.新生児痤瘡

 新生児に生ずる痤瘡で,顔面に閉鎖面皰,赤色丘疹,膿疱が生じる.発症頻度は約20%で圧倒的に男児に多い.ほとんど3か月以内に消退する.

2.痤瘡型薬疹

 ステロイド痤瘡はステロイドの全身投与による.前胸部,背部に均一な赤色丘疹,膿疱が多数生じる.ハロゲン,抗結核薬(特にINH),抗てんかん薬,ビタミンB12による痤瘡型薬疹がある.近年,分子標的薬による痤瘡型薬疹が報告さ

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