診療支援
治療

伝染性軟属腫(みずいぼ)
molluscum contagiosum
日野治子
(公立学校共済組合関東中央病院皮膚科・特別顧問)

●病態

・俗に「みずいぼ」といい,molluscum virusの皮膚への感染症で乳幼児に好発する.接触時の接種によって感染し,体幹・四肢などどこにでも生じうる.

・潜伏期間は2週間~50日ほどといわれる.

・症状は,点状ないし小豆大の健常皮膚色,中心臍窩をもつ小丘疹である.圧すると,中央の臍窩からウイルス感染で変性した粥状の細胞塊が排出される.軟属腫は数個の場合が多いが,時には小さいものが非常に多数みられるような多発例もある.軟属腫の周囲は乾燥して,湿疹病変を呈することが多く,軟属腫反応という.

●治療方針

A.治療すべきか

 放置しても自然消退することから,疼痛を伴う摘除を避け,自然消退を待つよう放置を勧める向きもある.しかし放置すれば本人での軟属腫の増数や他人へ感染,さらに掻破によるアトピー性皮膚炎の増悪,膿痂疹の続発などを生じるため,やはり何らかの方法で治療すべきである.

B.治療すべきならば

1.局所麻酔下摘除

 治療は基本的にはトラコーマ鑷子などでの摘除であるが,疼痛を伴うことが難点である.リドカイン貼付剤(ペンレステープ:各1枚にリドカイン18mg含有)で密封処置後に摘除すると,ほとんど疼痛なく摘除できる.

 方法としては,テープを小さく切りわけ,1回にテープ2枚分までを乳幼児の軟属腫に密着するように貼って1時間後テープを剥がし,鑷子で摘み取り,出血を抑えておく.

2.その他の方法

 患児に苦痛を与えない治療として,40%硝酸銀ペースト,液体窒素圧抵,イソジンやケミカルピーリング用薬剤塗布,スピール膏M貼付などでの治療が行われている.いずれも保険適用はない.

C.日常生活における対応

1.日常生活の処置

 衣類・リネンなどを共用しないこと,またウイルスは50℃で活性がなくなるため,これらを熱湯消毒すれば感染および感染の拡大を防ぐことができる.

2.学校保健における対応

 学校保健上,伝染性軟属

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