診療支援
治療

尋常性白斑
vitiligo vulgaris
林 昌浩
(山形大学皮膚科学・講師)

●病態

・表皮基底層に存在する色素細胞に対する自己免疫により色素細胞が消失して,境界明瞭な完全脱色素斑を生じる.

・被髪部を含む全身の皮膚に生じ,被髪部では白毛を呈することもある.

・皮疹の分布により,以下の病型に分類されている.

 a)非分節型:全身に大小の白斑がランダムに出現する

 b)分節型:神経・皮膚分節に沿って白斑が帯状に配列する

 c)その他:ごく一部に限局する白斑や,a)とb)の合併例を含む.尋常性白斑は全身症状を伴わないが,疫学的に自己免疫性甲状腺疾患の合併頻度が高いことが報告されている

●治療方針

 免疫抑制作用のある局所療法が主体となる.一般的に非分節型より分節型,体幹顔面より四肢末端に分布するものは治療抵抗性である.

Px処方例 下記を症状に応じて適宜用いる.

 〔ステロイド外用薬(一部の薬剤は保険適用外)〕

➊顔面・頸部:アルメタ軟膏・ロコイド軟膏などのミディアムクラスの外用薬

➋体幹・四肢:トプシム軟膏・アンテベート軟膏などのストロング~ベリーストロングクラスの外用薬

➊➋いずれも1日1~2回 白斑部に塗布

 長期外用による皮膚萎縮,痤瘡様皮疹などの副作用発現に留意する

 〔ビタミンD3外用薬(保険適用外)〕

➌オキサロール軟膏・ドボネックス軟膏 いずれも1日1~2回 白斑部に塗布

 〔カルシニューリン阻害薬(保険適用外)〕

➍プロトピック軟膏小児用 1日1~2回 白斑部に塗布

 〔紫外線照射療法(保険適用あり)〕

➎ナローバンドUVB,エキシマライト

 単独照射もしくは上記外用薬と併用する.プロトピックとの併用は添付文書上禁忌とされていることに注意.長期的な光発がんリスクは完全には明らかでなく,幼小児への照射は保護者への十分なインフォームド・コンセントを含め,慎重に検討されるべきである

A.主な鑑別診断

1.顔面単純性粃糠疹

 小児の主に頬部に生じる円形の不完全脱色素斑.成長とと

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