Ⅰ.良性発作性頭位めまい症(BPPV)
治療のポイント
・特定の頭位で1分以内の回転性めまいが誘発される場合に念頭におく.
・自然寛解例が多いが,めまいが持続する場合に理学療法を行う.
・患側がわかれば特異的頭位治療を行うが,日常生活の支障度をもとに非特異的頭位治療と薬物療法が適宜併用される.
●病態
・耳石器から剥離した耳石が三半規管に迷入し,頭位変化により半規管内の耳石が移動するために回転性めまいを生ずる.
・原因となる半規管は,後半規管,外側半規管,前半規管の順である.特定の頭位(前・後半規管では枕に頭をつける,外側半規管では寝返りをうつときに)でめまいが誘発される.めまいの持続時間は数十秒以内である.小児でも頭部外傷後やMénière(メニエール)病,突発性難聴の経過中にみられることがある.
・診断では,頭位眼振検査(外側半規管型BPPV)と頭位変換眼振検査(後半規管型BPPV)を行う.方向交代頭位眼振や反対回旋性頭位変換眼振により,患側診断が可能である.
●治療方針
BPPV(benign paroxysmal positional vertigo)は自然寛解例が少なくない.めまいが持続する場合には理学療法を行う.頸椎症などで頸部伸展ができない場合には,抗めまい薬,血管拡張薬などが短期間使用される場合がある.
1.理学療法
BPPVの患児はめまいをおそれて頭を動かさない場合が多い.非特異的頭位治療(簡単な頭部運動を自宅で繰り返す)を行うよう指導する.専門医では患側診断後に特異的頭位治療(後半規管型BPPVではEpley法)が行われる.
Px処方例
アデホス薬顆粒 1回0.2mg/kg(成分量として) 1日3回(成人量1日300mg)
■患児・家族説明のポイント
・耳が原因で生じた良性の病気であり,自然に治る場合が多いことを伝え安心させる.頭を動かすことが治療になることを理解させ,自宅での非特
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