今日の診療
治療指針

心房粗動
atrial flutter
山根禎一
(東京慈恵会医科大学教授・循環器内科)

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治療のポイント

・心房粗動の治療は心房細動と類似しており,抗凝固治療・心拍数コントロール・心房粗動の停止・心房粗動の根治の4つに分けられる.

・外来では通常,抗凝固治療とレートコントロール治療が基本となる.

・カテーテルアブレーションにより根治が可能であり,その選択肢を患者に提示することも外来医の役割といえる.

◆病態と診断

A病態

・心房粗動は心房頻拍の一種に分類され,240/分以上の規則正しい粗動波(F波)を心電図上の特徴とし,F波間に等電位線(ゼロライン)を欠如する頻拍と定義される.

・簡単なイメージとしては,心房内で比較的大きなリエントリー回路の中を興奮波がクルクルと旋回している状態である.

・典型的な心房粗動(心電図で鋸歯状波を呈する)は,三尖弁輪を反時計方向に興奮が旋回するマクロリエントリーである(通常型心房粗動).

・心房細動との合併が多い.心電図を記録するタイミングによって,両者のどちらか(または混在)が記録されることも多い.また,心房細動に対して抗不整脈薬を使用することで,心房粗動へと変化することもしばしばみられる.

B診断

・通常型心房粗動のF波は下壁誘導で陰性の鋸歯状波形を呈することが有名であるが,F波には陽性であったりサインウェーブ型であったり多くの種類が存在する.

◆治療方針

 治療の方針は心房細動と類似しており,抗凝固治療,心拍数コントロール,心房粗動の停止,心房粗動の根治に分けられる.

A抗凝固治療

 心房粗動における血栓塞栓症リスクは心房細動よりも低いと考えられているが,48時間以上持続する場合にはリスクが上昇する.また心房細動と心房粗動の両者を有している症例も多いことから,心房細動に準じた抗凝固治療を行う.

B心拍数コントロール

 β遮断薬などを使用することで房室結節伝導を抑制し,心房粗動は持続した状態でも,心拍数を抑制することができる.

Px処方例 下記のいず

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