今日の診療
治療指針

ネフローゼ症候群(一次性と二次性を含む)
nephrotic syndrome(including steroid dependent,steroid resistant,and refractory cases)
猪阪善隆
(大阪大学大学院教授・腎臓内科学)

頻度 あまりみない

GLエビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020

治療のポイント

・原因疾患によって治療が異なる.

・一次性ネフローゼ症候群では初期治療として副腎皮質ステロイドを使用し,反応性をみて免疫抑制薬の併用を考慮する.

・二次性では原因疾患の治療を優先する.

・体液過剰や高血圧,脂質異常症などの合併症に対する補助療法やステロイドなどの副作用対策も行う.

◆病態と診断

A病態

・ネフローゼ症候群では大量の蛋白尿により,低アルブミン血症浮腫が出現する.

・原発性糸球体疾患による一次性ネフローゼ症候群と,全身性疾患に伴う二次性ネフローゼ症候群に分類される.

・尿中に免疫グロブリン,抗凝固系蛋白,ビタミンD結合蛋白も漏出するため,易感染性,凝固異常,骨塩量低下などが生じる.

・低アルブミン血症による循環血漿量の低下に伴い,急性腎障害をきたすこともある.

B診断

・診断基準は,尿蛋白3.5g/日以上〔随時尿では尿蛋白/尿クレアチニン(Cr)比が3.5g/gCr以上〕,血清アルブミン値が3.0g/dL以下.浮腫や高コレステロール血症は重要な所見である.

・腎生検による原因疾患同定が重要である.

・治療開始1か月後と6か月後の尿蛋白量により,完全寛解(尿蛋白<0.3g/日),不完全寛解Ⅰ型(0.3g/日以上1.0g/日未満),不完全寛解Ⅱ型(1.0g/日以上3.5g/日未満),無効(3.5g/日以上)として治療効果を判定する.

・治療反応性により,ステロイド抵抗性(ステロイド治療1か月で完全寛解もしくは不完全寛解Ⅰ型に至らない),依存性(ステロイドを減量または中止後再発を2回以上繰り返すためステロイドを中止できない),難治性(ステロイドと免疫抑制薬を含む種々の治療を6か月行っても,完全寛解または不完全寛解Ⅰ型に至らない),頻回再発型(6か月間に2回以上再発)に分類される.

◆治療方針

 一次性ネフ

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