今日の診療
治療指針

膠原病・血管炎における腎病変(全身性エリテマトーデスなど)
renal involvement associated with collagen vascular disease(SLE,etc)
林 宏樹
(藤田医科大学准教授・腎臓内科学)

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Ⅰ.全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎病変:ループス腎炎

ニュートピックス

・糸球体疾患のためのKDIGO(国際的腎臓病ガイドライン機構)改訂診療ガイドラインが2021年に公表され,第10章で近年のエビデンスに基づき,ループス腎炎の新たな治療選択肢が示された.

治療のポイント

・ループス腎炎の存在自体がSLEの予後不良因子であり,組織所見が治療方針決定の指標となるため,腎病変の存在が予想されるすべての症例に対し,禁忌がなければ腎生検の実施が望ましい.

・治療はCKD管理を含む一般管理と免疫抑制療法(おおよそ6か月間の初期治療と,それ以降の後続治療)からなる.

◆病態と診断

・SLE(systemic lupus erythematosus)における免疫複合体を介する糸球体炎をループス腎炎と称する.SLE患者のうち発症5年以内に4割が,最終的に約半数がループス腎炎を発症する.

・多彩な免疫複合体沈着所見(フルハウス染色糸球体外沈着病変)や,電子顕微鏡で観察される内皮細胞内のtubuloreticular inclusionsは,診断的価値が高い.

・糸球体病変をISN/RPS(International Society of Nephrology/Renal Pathology Society)2018年分類に基づき分類するのみならず,間質尿細管病変を含む活動性および慢性化病変を評価する.

◆治療方針

 ループス腎炎合併例は非合併例より予後不良であることやSLE自体に心血管系合併症が多いことを考慮し,免疫調整薬としてのヒドロキシクロロキンのみならず,CKD対策としての降圧療法,脂質低下療法を含む一般管理を適宜行う.免疫抑制療法は腎生検による組織分類に基づき行う.Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ型のループス腎炎が腎病変をターゲットにした積極的な治療適応となるが,Ⅰ,Ⅱ,Ⅵ型では腎炎治療の適応はなく,

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