今日の診療
治療指針

M蛋白血症に伴う腎病変
renal diseases associated with monoclonal gammopathy
水野真一
(地域医療機能推進機構仙台病院・腎臓疾患臨床研究センター)

頻度 あまりみない

GL腎アミロイドーシスガイドライン2020

GL多発性骨髄腫の診療指針第5版(2020)

GL造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版

ニュートピックス

・M蛋白に伴うネフローゼ症候群の代表格であるALアミロイドーシスに対して,ダラツムマブ(ダラキューロ)やボルテゾミブ(ベルケイド)を併用した治療が2021年より保険診療で行えるようになった.

治療のポイント

・腎障害を惹起するM蛋白の由来となっている血液増殖性疾患に合わせたclone-directed therapyを血液内科と連携して積極的に行う.

・骨髄腫腎では不用意な利尿薬やNSAIDs,造影剤の使用は可能な限り控える.

◆病態と診断

A病態

・多発性骨髄腫の経過中に約半数の患者は腎障害を呈する.そのなかでも1番頻度が高い病態は円柱腎症(骨髄腫腎)であり,M蛋白(特に軽鎖)がタムフォスファール蛋白と結合し,尿細管を閉塞することで急性腎障害を呈する.高Ca血症による腎不全も生じる.

・円柱腎症以外にもM蛋白の糸球体への沈着形態の違いにより,AL型アミロイドーシスや単クローン性免疫グロブリン沈着症,クリオグロブリン腎炎などさまざまな腎病態を呈する.これらの腎病態は血液学的な治療が不要とされてきた意義不明なM蛋白血症(MGUS:monoclonal gammopathy of undetermined significance)や低悪性度のB細胞増殖性疾患,くすぶり型の骨髄腫/マクログロブリン血症などでも発症するため注意が必要である.このような血液学的には悪性度は低いものの,それらが産生するM蛋白が腎障害と密接に関係する病態をMGRS(monoclonal gammopathy of renal significance)と総称し,早期の治療介入が推奨されている.

B診断

血清および尿の免疫固定法でM蛋白を同定し,血液内科と

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