頻度 あまりみない
治療のポイント
・顆粒球減少の原因は多岐にわたり,治療を考えるうえでその鑑別は重要である.
・発熱性好中球減少症は内科エマージェンシーであり,すみやかな対応が求められる.
◆病態と診断
A病態
・顆粒球減少症は顆粒球(好中球,好酸球,好塩基球)の減少を意味するが,顆粒球のほとんどが好中球であり,好中球減少症(neutropenia)の同義語としても用いられる.
・好中球は異物を貪食し殺菌・消化することで生体防御に関与する.好中球減少は細菌および真菌の感染リスクを高め,好中球500/μL以下では重篤な感染症を引き起こす.
・顆粒球減少は骨髄における産生や分化の障害,循環好中球の血管内皮や脾臓への分布異常,末梢における消費や免疫的破壊により生じる.
B診断
・鑑別すべき顆粒球減少症の原因・疾患を以下に挙げる;薬剤(抗甲状腺薬,サラゾスルファピリジン,チクロピジンなど),感染症〔HIV,EBV(Epstein-Barr virus),細菌,リケッチア〕,膠原病(SLE,シェーグレン症候群など),血液疾患(骨髄異形成症候群,白血病など),栄養障害(銅欠乏,神経性食欲不振症),脾機能亢進,先天性好中球減少症(胚細胞系列の遺伝子異常),自己免疫性好中球減少症(抗好中球抗体の検出),周期性好中球減少症(約3週間周期).
・好中球減少症は,好中球1,500/μL未満と定義され,好中球数により軽症(1,000~1,500/μL),中等症(500~1,000/μL),重症(500/μL未満)に分類される.
・発熱性好中球減少症(FN:febrile neutropenia)は,好中球数500/μL未満あるいは1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満が予想され,腋窩温37.5℃以上の発熱を生じた場合と定義される.
◆治療方針
顆粒球減少に発熱を伴う場合,発熱性好中球減少症として緊急の対応を
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