頻度 あまりみない
GL血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2020
ニュートピックス
・von Willebrand因子に対する低分子抗体であるカプラシズマブは,後天性TTPの急性期の死亡や重篤な血栓症の予防効果が示され,国内で承認申請中である(2022年2月10日現在).
・先天性TTP患者を対象とする遺伝子組換えADAMTS13製剤の第Ⅲ相臨床試験が,日米欧の共同で実施中である(2019年1月30日~2023年11月1日予定).
治療のポイント
・後天性TTPと先天性TTPでは,治療方針が異なる.
・後天性TTPは治療開始の遅れが予後の悪化につながるため,できるだけ早期に新鮮凍結血漿を用いた血漿交換を開始するとともに,ステロイドの併用を行う.
・後天性TTPのうち難治例や早期再発例では,血漿交換とリツキシマブを併用する.
・先天性TTPでは,定期的にFFPを輸注する.
・血小板輸血は,致死的な出血がある場合を除き禁忌である.
◆病態と診断
A病態
・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,ADAMTS13の活性が10%未満に著減する疾患である.
・ADAMTS13遺伝子の異常による先天性TTP(Upshaw-Schulman症候群)と,ADAMTS13に対する自己抗体が生じる後天性TTPに分けられる.
・ADAMTS13は,超高分子量のvon Willebrand因子(VWF)重合体を適切な分子サイズに切断することにより,VWF重合体の血小板との結合能を調節する.ADAMTS13の活性が低下すると,切断されないままの超高分子量VWF重合体が循環血液中に蓄積する.その結果,全身の細動脈でVWF重合体が血小板と結合し血小板凝集を引き起こし血小板血栓が生じる.血小板が消費されて減少するとともに,脳や腎臓などに虚血性臓器障害や,赤血球の機械的な破壊による溶血性貧血をきたす.
B診断
・原因の特定できない
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