今日の診療
治療指針

アミロイドーシス
amyloidosis
堺田惠美子
(千葉大学医学部附属病院診療教授・血液内科)

頻度 あまりみない

GLアミロイドーシス診療ガイドライン2010

ニュートピックス

・未治療の全身性ALアミロイドーシスを対象とし,抗CD38抗体であるダラツムマブ皮下投与製剤とCyBorD(シクロホスファミド・ボルテゾミブ・デキサメタゾン)併用療法が,CyBorD療法に比して,血液学的完全奏効率を有意に改善し,さらに6か月時点における高い臓器奏効を示した.これにより,移植適応・非適応ALアミロイドーシスの標準治療として2021年8月にダラツムマブ皮下投与製剤・CyBorD併用療法は本邦初の保険適用を取得した.

治療のポイント

・全身性アミロイドーシスは,病型・病態に応じた治療法の開発が進んでおり,早期の正確な病型診断が重要である.全身性アミロイドーシスは指定難病となっている.

◆病態と診断

A病態

・アミロイドーシスとは,特異的なアミロイド原因(前駆)蛋白質が不溶性のアミロイド線維を形成し,全身臓器に沈着することによって機能障害を引き起こす一連の疾患群である.現在,約30種類のアミロイドーシスが知られており,前駆蛋白質の種類をもとに分類される.

B診断

・診断の第一歩は,まず疑うことである.アミロイド沈着臓器により,心臓,神経,腎臓,消化管,肝臓,靭帯・骨・関節,脳,甲状腺,舌,唾液腺,皮膚,眼などにさまざまな徴候を呈する.本症に特徴的な徴候に乏しい例も多く,複数の臓器に難治性病態を認める場合には,積極的に本症を疑い,生検などの精査を行うことが重要である.

・アミロイド蛋白は,コンゴーレッド染色で橙赤色に染まり,偏光顕微鏡下で緑色の複屈折を示す.さらに病型確定のために,アミロイド蛋白陽性組織を用いた免疫組織化学染色質量分析法を用いて原因蛋白質の同定を行うが,熟練した特殊検査技術を要するため,病型診断は,本項末尾に記載した診断コンサルテーションを利用するか,専門施設に依頼することを推奨する.

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