今日の診療
治療指針

成長ホルモン(GH)分泌不全症
growth hormone deficiency
大月道夫
(東京女子医科大学教授・内分泌内科学分野)

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GL間脳下垂体機能障害の診断と治療の手引き(平成30年度改訂)

ニュートピックス

・成人GH分泌不全症に対し,週1回投与のソマプシタン(ソグルーヤ)が登場した.

治療のポイント

・成人GH分泌不全症は,糖脂質代謝悪化,筋肉量・骨量の低下,QOL低下の一因であり,GH補充により予後の改善が示唆されている.

◆病態と診断

A病態

・GH分泌不全は,成人期において糖脂質代謝悪化,筋肉量・骨量の低下,QOL低下の原因となる.

B診断

・「成人成長ホルモン分泌不全症の診断の手引き」により診断する().

◆治療方針

 GH分泌不全に起因する糖脂質代謝悪化,筋肉量・骨量の低下,QOL低下を是正することが目的である.ソマトロピンは糖尿病が「禁忌」であったが,2022(令和4)年4月に「特定の背景を有する患者に関する注意」もしくは「慎重投与」に変更となった.ソマプシタンは「特定の背景を有する患者に関する注意」である.またほかの補充ホルモンとの相互作用に注意する(甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモン:補充量増加,テストステロン:作用増強,経口エストロゲン製剤:IGF-1産生抑制).

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

1)ソマトロピン(ジェノトロピン,ノルディトロピン,ヒューマトロープ,グロウジェクト,ソマトロピンBSのいずれか)注 1回3μg/kg 1日1回 毎日就寝前に皮下注から開始.臨床症状,血中IGF-1により4週単位で調整し,血中IGF-1を年齢・性別基準範囲内となるようにする.最高用量は1mg/日

2)ソマプシタン(ソグルーヤ)注 1回1.5mgを開始用量として週1回 皮下注.臨床症状,血中IGF-1により調整し,血中IGF-1を年齢・性別基準範囲内となるようにする.最高用量は8.0mg/週

■専門医へのコンサルト

・成人GH分泌不全症は,主症候()に記載されているように頭蓋内器質性疾

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