頻度 あまりみない
GL副腎クリーゼを含む副腎皮質機能低下症の診断と治療に関する指針(2015)
治療のポイント
・ステロイド合併症を予防し副腎クリーゼを回避する必要最低量の補充量を目指す.
・副腎クリーゼを疑ったら直ちに血管を確保し,躊躇なく治療を開始する.
◆病態と診断
A病態
・アジソン病では副腎皮質ステロイドホルモンの合成が障害され,慢性的なステロイド欠乏症を生じる.
・ステロイド治療中断,副腎皮質機能低下症患者における感染症,外傷などのストレスなどの誘因により,副腎皮質ステロイドが相対的・絶対的に不足するとショック状態となる.これを急性副腎不全(副腎クリーゼ)とよぶ.
B診断
1.アジソン病
・易疲労感,食欲不振・悪心,体重減少,無気力,皮膚粘膜色素沈着などの症状,低血圧,低血糖,低Na血症,高K血症,好酸球増加などの検査値異常がみられる.
・ACTH高値,血中・尿中コルチゾール低値,血中アルドステロン低値,血漿レニン活性高値,女性ではDHEA-S低値を呈する.
2.副腎クリーゼ
・意識障害,けいれん,低血圧,脱水所見,ショック症状,低Na血症,高K血症,低血糖などがみられる.
◆治療方針
Aアジソン病
糖質コルチコイドであるヒドロコルチゾン(HC)やプレドニゾロン,鉱質コルチコイドであるフルドロコルチゾンの補充療法を行う.高熱,嘔吐・下痢,侵襲のある手術,大きな外傷などのストレス状態の際はステロイド内服量を2~3倍に増量する.
Px処方例 1)あるいは2)に3)を併用する.
1)ヒドロコルチゾン(コートリル薬)錠(10mg) 1日15~20mgを2回に分服
2)プレドニゾロン薬錠(1・5mg) 1日2.5~5mgを1~2回に分服
3)フルドロコルチゾン(フロリネフ薬)錠(0.1mg) 1回0.02~0.1mg 1日1回 症状により適宜増減
!注意 コルチゾールの生理的分泌量および分泌リズム(日内変動)に
関連リンク
- 治療薬マニュアル2023/ヒドロコルチゾン《コートリル》
- 治療薬マニュアル2023/プレドニゾロン《プレドニン プレドニゾロン プレドニゾロン プレドニゾロン》
- 治療薬マニュアル2023/フルドロコルチゾン酢酸エステル《フロリネフ》
- 治療薬マニュアル2023/生理食塩液《生理食塩液》
- 治療薬マニュアル2023/ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム《ソル・コーテフ ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa》
- 治療薬マニュアル2023/ブドウ糖《ブドウ糖 ブドウ糖》
- 新臨床内科学 第10版/2 甲状腺クリーゼ
- 新臨床内科学 第10版/4 急性副腎不全
- 今日の診断指針 第8版/Addison病
- 今日の診断指針 第8版/急性副腎不全