頻度 あまりみない
◆病態と診断
A病態
・原因不明の反復性結節性非化膿性脂肪織炎で,頻度は比較的まれである.自然免疫の異常亢進を本態とする自己炎症性皮膚疾患と臨床的に類似するものの,「疾患概念が明確でない疾患」に位置付けられている.
・20~40歳台の成人女性に好発する.基礎疾患に伴う場合はWeber-Christian症候群,原因不明であれば狭義のWeber-Christian病と称する.本邦では100人前後と推定される.
・皮疹は疼痛を伴う1~2cm大の皮下結節・板状硬結が多発・再発する.数日~数週間で消退するが,萎縮性陥凹や色素沈着を残す.好発部位は下肢や殿部で,上肢,体幹,顔面にも出現する.発熱,倦怠感,関節痛,筋肉痛,腹痛など全身症状を伴うこともある.
・肺,心,消化管,副腎,腎,肝,脾などの内臓脂肪に炎症を起こすと,致命的となりうる.
・国の指定難病の1つで,厚生労働省難治性疾患克服研究事業の「皮膚の遺伝関連性希少難治性症候群の網羅的研究班」で研究されている.
B診断
・原因不明の発熱と皮下結節を多発・反復する場合に疑うが,特異的な検査所見はない.
・生検が確定診断に有用である.病理組織では小葉性脂肪織炎を認め,早期では脂肪小葉に好中球,リンパ球,組織球の浸潤と脂肪細胞の壊死,のちにマクロファージの浸潤と線維化を認める.
・鑑別疾患としては結節性紅斑症候群,特に感染症,結合組織疾患,代謝障害,膵・腎疾患,リンパ増殖性疾患,外傷,α1-アンチトリプシン欠乏症,薬剤性など小葉性脂肪織炎をきたす疾患の鑑別が重要である.
◆治療方針
確立した治療法はない.軽症例では疼痛緩和のためNSAIDs,中等症の皮膚症状には少量~中等量の副腎皮質ステロイド,全身症状を伴う重症例ではステロイド大量療法やパルス療法を考慮する.ステロイド抵抗例に免疫抑制薬が奏効するとされ,ステロイド減量効果を期待して併用され
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