頻度 あまりみない
GL単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017
治療のポイント
・当初から単純ヘルペス脳炎と確定診断することはできないので,ウイルス性脳炎が疑われる場合は,PCR法の結果を待つことなくアシクロビルの最大量の投与を開始する.
・脳脊髄液の高感度PCR検査が陽性で単純ヘルペス脳炎が確定した場合は,アシクロビルの投与を継続する.
・治療開始後7日ごとにPCR検査を施行し,連続2回のPCR検査で陰性を確認してアシクロビルの投与を終了する.
◆病態と診断
A病態
・散発性に起こる急性脳炎のなかで最も頻度が高い.発生頻度は年間100万人当たり3.5~3.9人とされ,新生児から高齢者までみられる.
・成人の場合は神経節に潜伏していたヘルペスウイルスが再活性化し,神経を上向して中枢神経に達し,側頭葉~辺縁系脳炎を呈する.発熱,頭痛,倦怠感,上気道炎症状で急性発症し,悪心・嘔吐,項部硬直,ケルニッヒ徴候などの髄膜刺激症状と,意識障害(意識レベルの低下や意識の変容),人格変化や見当識障害などの中枢神経症状を呈する.
・小児の場合は,潜伏感染からの再活性化のほかに,初感染で感染部位から神経行性に上向して中枢神経に達する場合がある.発熱,けいれん,意識障害,構音障害,性格変化などで発症し,その後急速に進行して重篤な意識障害に陥ることが多い.
・新生児の場合は,ウイルス血症からの血行性感染が主である.新生児では,中枢神経症状を呈するのは進行してからであるので,発熱に加え何となく変だ(not doing well)といった非特異的症状の段階で鑑別疾患に挙げておく必要がある.
B診断
・脳波では,病初期から何らかの異常を認めることが多い.周期性の複合波,焦点性あるいは全般性徐波,焦点性てんかん性放電のほか,ヘルペス脳炎に特徴的な所見として,側頭葉を中心とする周期性一側てんかん性放電(PLEDs:periodic