診療支援
治療

ショック―緊急検査と処置
shock:emergency examination and treatment
笠岡俊志
(熊本大学病院教授・災害医療教育研究センター)

治療のポイント

・迅速な診断と適切な初期治療が重要である.

・生体情報のモニタリングによって治療効果を評価する.

・専門医へのコンサルトを迅速に行う.

◆病態と診断

A病態

・ショックとは,「生体に対する侵襲あるいは侵襲に対する生体反応の結果,重要臓器の血流が維持できなくなり,細胞の代謝障害や臓器障害が起こり,生命の危機に至る急性の症候群」と定義される.

・血液循環は心臓のポンプ機能,循環血液量,末梢血管抵抗の3要素で構成されており,これらの要素のいずれかの異常によりショックが発生する.

・発症機序に基づき,①循環血液量減少性,②心原性,③心外閉塞・拘束性,④血液分布異常性の4つに分類される.

B診断

・診断基準として収縮期血圧90mmHg以下が用いられるが,ショックの診断に血圧低下は必須ではなく,全身的な組織低灌流によって発生する徴候(顔面蒼白・四肢冷感,意識障害,乏尿,血中乳酸値の上昇など)を適切に評価す

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