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GL改訂第6版 外傷初期診療ガイドラインJATEC(2021)
治療のポイント
・受傷機転,身体所見から気胸(血胸)を疑った場合は胸部X線撮影を行う.
・治療は胸腔ドレナージが原則である.
・気胸がある状態で陽圧換気が必要なら胸腔の開放を先行させる.
・緊張性気胸(血胸)では,画像評価を待たずにドレナージが必要である.
◆病態と診断
A病態
・外傷性気胸(血胸)は胸膜腔内に空気(血液)が貯留した状態である.
・鈍的外傷では,肋骨骨折が肺を損傷し気胸になることが多い.
・穿通性外傷(刺創・杙創・銃創)では,損傷臓器に応じて気胸や血胸が発生する.
・胸壁に気管径の2/3以上の開放創があると,肺は虚脱し開放性気胸になる.
・心・大血管損傷,肋間動脈損傷,横隔膜破裂では,大量血胸をきたす.
・大量のエアリークが続く場合は,肺破裂,気管・気管支損傷の可能性がある.
・緊張性気胸(血胸)では右心系圧排による静脈還流障害や,心臓の圧迫による心拍出量低下により閉塞性ショックとなり,患側肺の虚脱や健側肺の圧排で呼吸不全が生じる.
B診断
・受傷機転から胸部外傷の可能性を考える.
・身体所見で皮下気腫,呼吸音左右差,動揺胸郭(奇異性呼吸)がある場合は,外傷性気胸(血胸)を疑う.
・まず胸部X線撮影を行う.立位や坐位での撮影が望ましいが,患者の状態により困難なことも多い.臥位では肋骨横隔膜角の鋭化(deep sulcus sign)で気胸を疑う.
・超音波検査も有用である.気胸の検索は前胸壁走査で,正常でみられるlung sliding(肺が横に滑る像)が消失する.またMモード表示で,正常でみられるseashore sign(胸膜を境にした海と岸のような像)が,stratosphere(barcode)sign(層状の多数の直線像)になる.血胸の検索は側胸部走査で,液体貯留がみられる.
・CT検査は感受性・特異性とも最も