治療のポイント
・臨床症状から早期にショックを認知し原因を把握する.
・各種カテコールアミンの薬理作用について理解し,病態生理に応じたカテコールアミンを投与する.
・敗血症性ショック,アナフィラキシーショックの第1選択薬はそれぞれノルアドレナリン,アドレナリンである.
・低心拍出状態にある心原性ショック時はドブタミンを開始し,血圧に応じノルアドレナリンを併用する.
◆病態と診断
Aショックの分類と臨床症状
・ショックの病態生理は4つに分類できる.①心原性,②閉塞性,③循環血液量減少性,④血液分布異常性であり,それぞれ原因となる疾患が異なる.このなかでカテコールアミンを主に使用するのは心原性,血液分布異常性の2分類である.
・ショックを早期に認知するため血圧低下以外にも臨床症状が重要となる.頻脈,乏尿,昏迷,頻呼吸,皮膚湿潤などの身体所見からショックを認知することが可能である.
Bカテコールアミンの薬理作用
・カテコールアミンは心臓や末梢血管のアドレナリン受容体に作用し昇圧作用を発揮する.アドレナリン受容体はα,β受容体に分類され,さらにα1,α2,β1,β2,β3 と分類される.各種カテコールアミンは薬理作用が異なり,それぞれの受容体に選択的に作用する(図).
◆治療方針
本項では心原性ショック,血液分布異常性ショック(敗血症性ショック,アナフィラキシーショック)に焦点をあて解説する.心肺蘇生時のアドレナリン使用法については他項を参照いただきたい.
A心原性ショック
心収縮力低下や心拍数の異常による低心拍出状態に起因する急性循環不全である.変力作用を有するドブタミンを低用量から開始し,循環動態をモニタリングしながら徐々に増量していく.低血圧がある場合ノルアドレナリンを追加する.
Px処方例
ドブタミン(ドブトレックス薬)注(100mg/5mL) 0.5~5μg/kg/分で開始,0.5~20μg/kg