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治療

電解質異常補正法 [■その他]
☆☆
correction of electrolyte abnormalities
井上貴昭
(筑波大学教授・救急・集中治療医学)

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治療のポイント

・電解質異常は,意識障害の原因の1つとして評価にあたる必要がある.

・電解質異常そのもので致死的状態を惹起することがあるが,補正経過でさらなる合併症をきたす可能性があることにも注意が必要である.

・原因精査と同時に適切な電解質補正を優先させる.


 緊急度と頻度別にK・Na・Caを取り上げる.

Ⅰ.高K血症

◆病態と診断

・血清K≧5.5mEq/Lの状態であり,≧7.0mEq/Lでは心停止の危険がある.

・慢性腎疾患患者,透析患者に合併しやすいほか,圧挫症候群や虚血再灌流障害などの外傷後の合併症としてきたすことがある.

T波増高,PQ延長,P波消失,QRS拡大の心電図異常,徐脈,低血圧の出現では心停止のリスクが高く,緊急処置が必要である.

◆治療方針

ACa製剤の静注

Px処方例

 グルコン酸カルシウム(カルチコール)注 1回10mL 1.7~3.5mL/分で緩徐に静注保外

Bアシドーシスの補正

 総投与量は下記の式により算出する.

 投与量(mEq)=base deficit(mEq/L)×0.2×体重(kg)

Px処方例

 炭酸水素ナトリウム(メイロン)注(7%) 1回20mL,または炭酸水素ナトリウム(メイロン)注(8.4%) 1回10mL 10mEq/分で緩徐に静注

CKの細胞内移行の促進

1.グルコース・インスリン療法

 グルコース:インスリン比が10:1~2.5:1になるように急速投与を行い,細胞内へのKの取り込みを促進する.

Px処方例

 50%ブドウ糖液 50mL+インスリンヒト(ヒューマリンR)注 10単位,または10%ブドウ糖液 500mL+インスリンヒト(ヒューマリンR)注 10単位 点滴静注保外

DKの体外排泄促進

1.ループ利尿薬静注

Px処方例

 フロセミド注 1回20mg 静注

2.イオン交換樹脂投与

Px処方例

 ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケル

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