診療支援
治療

石油製品中毒(ガソリン・灯油)
petroleum(gasoline and kerosine)poisoning
梅澤耕学
(米盛病院・救急科副部長(鹿児島))

頻度 あまりみない

治療のポイント

・ガソリンや灯油は,誤飲・誤嚥・吸入・接触により化学性肺炎,中枢神経障害,接触皮膚炎を起こす.

・ガソリンや灯油を誤飲すると,その直接刺激や催吐作用によって口腔咽頭の熱感,嘔気嘔吐など消化器症状が出現し,その後誤嚥による咳嗽,呻吟,チアノーゼなど呼吸器症状が出現し,急性呼吸促迫症候群(ARDS)などの呼吸不全を生じる.

・ガソリンや灯油が皮膚に一定時間曝露すると化学損傷を起こし,灯油皮膚炎とよばれる接触皮膚炎を起こす.

・拮抗薬はなく,全身管理や対症療法が中心である.

・粘度が低く,揮発性があり,容易に気道へ拡散するため,催吐や胃洗浄は推奨されない.

◆病態と診断

A病態

・石油製品は主に脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素の混合物である.

・脂肪族炭化水素より芳香族炭化水素のほうが,揮発性が高く毒性は強い.

・灯油よりもガソリンのほうが芳香族炭化水素の割合が高く,プレミアムガソリ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?