診療支援
治療

腸チフス,パラチフス [■3類感染症]
enteric fever(typhoid fever,paratyphoid fever)
樽本憲人
(埼玉医科大学准教授・感染症科・感染制御科)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・輸入例が多く,帰国者の発熱では鑑別に挙げる必要がある.

・特に南アジアを中心にキノロン耐性株が増加しており,その場合にはアジスロマイシンなどによる治療が検討される.

・治療後も再発や保菌者となりうる.

◆病態と診断

A病態

・腸チフスはチフス菌Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhi),パラチフスはパラチフスA菌Salmonella enterica subsp. enterica serovar Paratyphi A)による感染症である.パラチフスは腸チフスと比較して軽症である.

経口感染が主な感染様式であり,東南アジアやインド,アフリカ,中南米での有病率が高い.

・リンパ行性に血中に入り,網内系で増殖し,敗血症に至る.第1病期は,1~2週間の潜伏期ののち,菌血症による発熱,嘔気のほか,古典的3徴候(比

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