頻度 あまりみない
治療のポイント
・自然治癒傾向の強い疾患であるが,持続性感染に移行すると予後が悪化するため診断例,あるいは疑い例(動物と接触歴があり,インフルエンザ様症状を非流行時に呈する)では積極的に治療を行う.
・第1選択薬はテトラサイクリン系(ローディングドーズで使用)であり,β-ラクタム系薬は無効である.
◆病態と診断
A病態
・4類感染症に指定されているQ熱は偏性細胞内寄生菌のCoxiella burnetiiによる人畜共通感染症である.
・本菌を保有するウシ,ヒツジ,ネコなどの排泄物がエアロゾル化したものを吸入することにより感染する.
・急性Q熱は,2~3週間の潜伏期間後,発熱,咳嗽,筋肉痛,全身倦怠感などのインフルエンザ様症状や,肺炎,肝炎,脳炎などの多彩な症状を呈する.
・半数以上が無症候性で予後良好だが,5%が持続性感染(心内膜炎や血管炎など)に移行し予後が悪化する.
・妊娠中に感染すると流産や早産のリスクが高くなる.
B診断
・分離・同定による病原体の検出は一般検査室では困難である.PCR法あるいは間接蛍光抗体法(単一血清でIgM抗体64倍以上,もしくはIgG抗体256倍以上,または数週間間隔のペア血清による抗体価の4倍以上の上昇)で診断する.
◆治療方針
Q熱の診断は困難なことが多いため,疑った時点で治療を検討する.弁膜症などの基礎疾患を有する症例では,心臓エコー検査が推奨される.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)ドキシサイクリン(ビブラマイシン薬)錠(100mg) 初日:1回2錠 単回投与,2日目以降:1回1錠 1日2回 2週間
2)レボフロキサシン(クラビット薬)錠(500mg) 1回1錠 1日1回 2週間
3)クラリスロマイシン(クラリス薬)錠(200mg) 1回2錠 1日2回 2週間保外
Px使い分けのポイント
・妊婦の場合,欧米ではST合剤の使用が提案されるが,本邦