頻度 ときどきみる(2013年以降増加が続く.2022年は過去最高で約13,000例の報告)
GL性感染症 診断・治療ガイドライン 2020
ニュートピックス
・2022年1月,筋肉注射用のペニシリン系抗菌薬が使用可能になった.
治療のポイント
・国内における第1選択薬はペニシリン系抗菌薬である.
・定められた投与量(投与回数),期間で投与する.
・治療開始前にJarisch-Herxheimer 反応と薬疹について説明する.
・治療効果をRPR(rapid plasma reagin)法と梅毒トレポネーマ抗体の経時的変化により判断する.
◆病態と診断
A病態
・スピロヘータ科トレポネーマ属の細菌Treponema pallidum subsp. pallidum(梅毒トレポネーマ;TP)が皮膚や粘膜の微細な傷から侵入して惹起される性感染症.
・感染後,TPは血行性,リンパ行性に全身に散布され,すべての臓器に病変を形成し,慢性経過をとる.
B病期
・治療を要する活動性梅毒と治療不要な陳旧性梅毒に大別される.
・活動性梅毒は,感染後の1年を目安に早期梅毒と晩期梅毒に区分される.
・活動性梅毒でも症状のない場合には潜伏梅毒とよばれる.
・活動性梅毒は病態から以下のように分類される.
1)第1期梅毒:TPの侵入部位に発疹(性器,肛門,口腔など),硬結などを認める.
2)第2期梅毒:各臓器に散布したTPによる多彩な症状を呈する.症状は自然に軽快するが,未治療では潜伏梅毒になるものが多い.
3)第3期梅毒:感染から年余を経て心血管系,神経梅毒などを呈する.
C診断
・塗抹・培養検査:グラム染色で染色されず,通常の培地で発育しない.
・遺伝子検査:病変部位の検体からTPの鏡核酸検出(PCR法など,保険適用なし).
・通常TP由来抗原に対する抗体(TP抗体)と感染組織から放出されるカルジオリピンへの抗体(RPR)を自動化法にて測