頻度 よくみる
治療のポイント
・抗ウイルス薬を用いることが多いが,健康小児においては通常自然治癒する.
・3か月以上の間隔で2回,1~2歳で行う定期接種による予防効果が高い.
◆病態と診断
A病態
・水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella zoster virus)(αヘルペスウイルス亜科,2本鎖DNAウイルス)の初感染によって起こる,急性感染症である.
・ヒトからヒトに感染しやすい疾患の1つ(基本再生産数8~10)で,空気感染する.
・VZVの自然宿主はヒトのみである.
・VZVは気道粘膜から侵入し,鼻咽頭の侵入部位と所属リンパ節で増殖し,その後ウイルス血症によって皮膚,肝,脾などに散布され,皮膚にはかゆみを伴う水疱を形成する.
・主体は水疱であるが,紅斑,丘疹,水疱,膿疱,痂皮と進むため,さまざまなステージの発疹が一度にみられる.
・発疹は頭や体幹に多く,手や足には少ない.
・潜伏期間はおおむね14~16日であるが,10~21日まで幅がある.
・発疹のほか,発熱,頭痛,易疲労感,食欲不振,軽度の腹痛を伴うことがある.
・合併症として皮膚の2次感染があり,ほかに小脳失調・脳梗塞・髄膜脳炎などの中枢神経症状,肺炎や肝炎,血小板減少症,腎炎などがまれにみられる.
・水痘罹患後,VZVは知覚神経節に潜むが,免疫能の低下や加齢などのきっかけでVZVが再活性化して,帯状疱疹を発症することがある.
・水痘に罹患中の母親から出生した児,免疫不全者は,重症化しやすい.
B診断
・流行状況,ワクチン歴を聴取する.
・臨床診断,抗原検査,抗体検査,その他PCR検査がある.
・臨床診断は,ワクチン免疫のない患者においては,「A病態」で述べた所見から比較的容易である.
・抗原検査は,水疱内容液,水疱基底部拭い液・水疱内剥離感染細胞から蛍光抗体法により抗原を検出するものである.
・抗体検査は,血清IgM抗体陽性,ペア血清での抗