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治療

薬剤耐性腸内細菌目細菌感染症〔基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)・AmpC型β-ラクタマーゼ産生菌,カルバペネム耐性腸内細菌目細菌/カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌(CRE/CPE)〕 [■その他]
八木哲也
(名古屋大学教授・臨床感染統御学)

頻度 よくみる(ESBL・AmpC型β-ラクタマーゼ産生菌)

頻度 あまりみない(CRE/CPE)

GLJAID/JSC感染症治療ガイド2019

ニュートピックス

・欧米のガイドラインであるが,2022年に(Clin Infect Dis 75:187-212)および(Clin Infect Dis 74:2089-2114)が発出された.

治療のポイント

‍ (共通)

・治療薬は,患者の病態・重症度,感染巣,菌の薬剤感受性結果,抗菌薬の組織移行性などを評価して選択する.

・ドレナージやデブリードマンなどの感染巣コントロールが必要な場合には,抗菌薬投与とともに実施する.

‍ (ESBL・AmpC型β-ラクタマーゼ産生菌共通)

・治療薬で最も信頼性が高い薬剤は,カルバペネム系抗菌薬である.

・ESBL産生菌感染症でほかに比較的有効性が保たれる薬剤には,タゾバクタム・ピペラシリンやセフトロザン・タゾバクタムなどのβ-ラクタム薬・β-ラクタマーゼ阻害薬配合剤,セフメタゾール(セファマイシン系抗菌薬)やフロモキセフ(オキサセフェム系抗菌薬),フルオロキノロン系抗菌薬,ST合剤などがある.

・AmpC型β-ラクタマーゼ産生菌感染症では,セフェピムなどの第4世代セファロスポリン薬,フルオロキノロン系抗菌薬,ST合剤などが使用可能である.

‍ (CRE/CPE)

・CRE/CPEによる感染症の治療において,併用治療が単剤治療に勝るかどうかは,まだ結論が出ていない.

・わが国でのCRE/CPEによる感染症の報告では,諸外国からの報告よりも感受性が残る薬剤が多く,コリスチン,チゲサイクリン,メロペネムやドリペネム(MIC≦8μg/mL)などに加え,アズトレオナム,タゾバクタム・ピペラシリン,アミノグリコシド系抗菌薬やフルオロキノロン系抗菌薬,ST合剤が使用できる場合もある.

◆病態と診断

A病態

・基質特異性拡張型βラクタマー

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