診療支援
治療

サイトメガロウイルス感染症 [■その他]
cytomegalovirus(CMV)infections
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・感染症学)

頻度 ときどきみる(成人:感染率は下がっており30%未満である)

頻度 あまりみない(新生児)

治療のポイント

・感染年齢,感染時の宿主の免疫能により臨床像が異なる.初感染かそうでないか(再活性化・再感染)によっても病態が異なる.病態ごとに治療内容を選択する.

・抗ウイルス療法の開始時には,末梢血あるいは罹患臓器の組織学的な検索などによる活動性CMV感染の証明が重要である.

・抗サイトメガロウイルス薬の特徴を知ったうえで導入する必要がある.

◆病態と診断

A病態

・サイトメガロウイルス(CMV)はヘルペスウイルス科の1種(βヘルペスウイルス)であり,ヒトにのみ感染する.ほかのヘルペスウイルス科のウイルス同様,一度感染すると生涯にわたり潜伏感染し,宿主の細胞性免疫が低下する病態(移植後,HIV感染症など)が合併すると再活性化し,病気を起こす.

・多くの場合幼少期に感染が起きる.感染性のウイルスが母親の尿,母乳,唾液などに排出され,曝露を受けた乳幼児に感染が起きることが知られている.ほとんどの場合無症状である.

・妊娠中に母親が感染した場合は胎児への感染が起きる.CMVが胎内で感染する頻度は,全出生の0.4~1%であり,そのうち85~90%は出生時に無症状であるが,残りは出生時にさまざまな程度の臨床症状(感音性難聴,運動障害,知能障害など)を示す.

・青少年以降に初感染時は,免疫正常者ではほとんどが無症候の不顕性感染であるが,時に伝染性単核球症様の症状を起こす.

・免疫抑制状態では,初感染・再活性化ともに,肺炎,脳炎,大腸炎など,各種臓器の重篤な感染症を惹起する場合がある.

B診断

・血清学的診断としては,CMV IgGが既往感染の診断に,CMV IgMが初感染・再活性化の診断に用いられるが,感度は不十分である.非特異陽性の場合もある.

・原因不明の発熱患者では鑑別診断としてCMV感染症を念頭におく.再活性

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