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治療

ウイルス性気道感染症(感冒症状など) [■その他]
viral respiratory tract infection
松本哲哉
(国際医療福祉大学主任教授・感染症学)

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◆病態と診断

A病態

・急性気道感染症は,急性上気道炎,急性咽頭炎,急性扁桃炎,急性鼻副鼻腔炎,急性気管支炎などに分類される.

・急性気道感染症の大半は急性上気道炎であり,風邪や感冒などとよばれることもある.

・急性気道感染症の原因微生物の8~9割はウイルスであり,ライノウイルス,風邪のコロナウイルス,パラインフルエンザウイルス,アデノウイルス,エンテロウイルスなどが大半を占めている.さらにインフルエンザウイルス,RSウイルス,ヒトメタニューモウイルス,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)などによる感染例では症状が重くなったり,肺炎を合併することもある.

・インフルエンザウイルスなどの感染後に2次性の細菌感染を認めることがある.

・COVID-19は,重症化リスクを有する例では上気道炎のみに留まらず,全身状態を悪化させる可能性がある.

B診断

・ウイルスの増殖に伴う上気道粘膜の炎症に伴って咽頭痛や鼻閉を認め,ウイルスを排除するための生理的反射や仕組みとしてくしゃみ,鼻水,咳,痰などの症状を認める.さらに非特異的症状として発熱や倦怠感を伴う場合もある.

・診断は主に問診などで上記の症状や経過を確認し,咽頭部の発赤などの診察所見などと併せて臨床的に行われる場合が多い.

・通常は原因病原体を確認するための検査は行わず,いわゆる風邪として患者には診断名を説明することが多い.

・インフルエンザ,COVID-19,RSウイルス感染症などが疑われる場合は,抗原検査などを実施して病原体を確認し,特定の治療薬や治療法につなげる必要性がある.

・ウイルス以外の気道感染症として,マイコプラズマや肺炎球菌,インフルエンザ菌,溶血性レンサ球菌,モラクセラ・カタラーリス,百日咳などが挙げられ,時に鑑別を要する.

◆治療方針

 いわゆる風邪としての急性上気道炎に対しては,原因となる多くのウイルスに対して直接的に

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