頻度 ときどきみる
治療のポイント
・最近の第1選択は経カテーテル的塞栓術である.専門施設に紹介する.
・労作時息切れ,低酸素血症が認められる場合のみならず,奇異性塞栓症の予防の意味でも治療が考慮される.
◆病態と診断
A病態
・肺動脈と肺静脈が肺内で毛細血管を介さずに短絡(シャント)をきたす血管奇形である.
・進行するとシャントによる低酸素血症,肺高血圧を呈する.また右左シャントを経て主として血栓が左心系・体循環系に奇異性塞栓を起こし,脳虚血や脳膿瘍をきたすことがある.瘻の破裂による血胸・喀血の可能性もある.
・特発性のもの以外に遺伝性毛細血管拡張症(HHT:hereditary hemorrhagic telangiectasia)の部分症状として出現するものがある.責任遺伝子としてENG,ALK-1,SMAD4などが同定されている.
B診断
・造影CTの肺動脈相で結節および血管の造影効果を認める.
・心エコーで肺高血圧のスクリーニング,コントラスト心エコーで右左シャントの確認を行う.
・肺動脈造影が診断のGolden standardであるが,最近ではMD-CT(multi-detector row CT)で瘻の形態まで詳細に把握できる.コイル塞栓術に際しては肺動脈造影が必須である.
・肺高血圧の合併をみるために,肺動脈造影の際に右心カテーテル検査による肺動脈圧など肺循環の圧測定を行うのが望ましい.
・室内気吸入下および100%酸素吸入後の動脈血ガスから,右左シャント率を計算する.肺血流シンチグラムで肺内と肺外臓器のカウント比からシャント率を推定できる.
◆治療方針
息切れ,低酸素血症が認められる場合,瘻が増大傾向の場合は治療適応になる.以前は外科的切除のみが治療法であったが,最近では経カテーテル的コイル塞栓術が第1選択である.流入血管が3mm以上の場合にカテーテル治療が考慮されていたが,画像的に