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GL急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018
治療のポイント
・胆嚢炎では手術が第1選択.
・待機手術・耐術不能例では重症度に応じて抗菌薬投与±胆嚢ドレナージ.
・胆管炎ではまず内視鏡的胆道ドレナージ+抗菌薬投与.
・重症例では緊急ドレナージと敗血症に対する治療が重要である.
・重症例では緊急胆道ドレナージと集中治療ができる施設へ搬送することも考える.
◆病態と診断
A病態
・胆道系の感染症は,通常背景に胆汁うっ滞があり,そこに感染することで成立する.治療としては抗菌薬投与のみでは不十分で,胆道ドレナージが必要となる症例が多い.
1.胆嚢炎
・胆嚢結石の頸部嵌頓,悪性腫瘍や胆管ステントによる胆嚢管閉塞などが原因となる.感染胆汁の貯留のみならず胆嚢壁の炎症から壊死・穿孔へ発展する症例もある.また,無石胆嚢炎は動脈硬化による虚血が原因である.
2.胆管炎
・胆管閉塞によりうっ滞した胆汁に感染が起きる.また,胆管内圧上昇による胆汁の大循環流入が起きる.血中に流入した胆汁により黄疸を呈し(閉塞性黄疸),ビリルビン尿・灰白色便となる.胆汁には細菌が混入しているので菌血症となり,高齢者や易感染例では敗血症となる.胆管結石の嵌頓が多いが,悪性,良性の胆管狭窄,胆管ステント閉塞なども原因となる.
B診断
1.胆嚢炎
・局所の臨床徴候(右季肋部痛・圧痛,Murphy徴候)と炎症(発熱,CRP・白血球上昇),特徴的な画像所見(胆嚢腫大,壁肥厚,頸部嵌頓結石,胆泥,胆嚢周囲の液体貯留)から診断される.超音波プローブで胆嚢を圧迫して圧痛の有無をみるsonographic Murphy's signが診断には有用である.
2.胆管炎
・胆汁うっ滞所見(黄疸・胆道系酵素上昇),炎症(発熱,CRP・白血球上昇),胆管画像所見(胆管拡張,胆管狭窄,胆管結石,胆管ステント)から診断される.発熱時には菌血症を反映して悪寒・戦慄を