GLエビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020
Ⅰ.IgA腎症
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ニュートピックス
・SGLT2阻害薬が慢性腎臓病の適応を得ており,IgA腎症患者において腎予後を劇的に改善したと報告されている.
治療のポイント
・IgA腎症は,検尿異常を契機に診断され,一般に無症状であるが,緩徐に腎機能障害が進行して,無治療の場合には20年の経過で約40%が透析などの腎代替療法を要する末期腎不全に至る予後不良の疾患である.
・IgA腎症の診断には腎生検が必須であり,専門医による強力な免疫抑制療法や口蓋扁桃摘出術などの積極的治療を行うことで,予後を劇的に改善できる.このため積極治療を要する時期を見逃さないことが重要である.
・安定したIgA腎症では,食事療法や,RA(レニン-アンジオテンシン)系阻害薬やSGLT2阻害薬など腎保護を目的とした保存治療を行う.しかし腎炎の再燃が疑われれば,再度の腎生検や免疫抑制治療を行う可能性があり,専門医の診断を要する.
◆病態と診断
A病態
・IgA腎症は,糸球体性血尿や蛋白尿などの検尿異常が持続的にみられ,糸球体にIgAの優位な沈着を認め,その原因となる基礎疾患が認められないもの,と定義される.
・IgA腎症の病因はいまだに明らかではないが,上気道感染や消化管感染により肉眼的血尿を伴う臨床症状の増悪を認めること,口蓋扁桃摘出術が有効であることなどから,粘膜免疫が病因に関与すると考えられている.またIgA腎症の多くは孤発性であるが,約10%に家族性IgA腎症を認め,日本をはじめとするアジア太平洋地域に好発するなどの地域差や人種差が認められることから遺伝素因の関連が示唆されている.
・IgA腎症では腎糸球体にIgA1の選択的な沈着を認め,沈着IgA1は多量体で,ヒンジ部O結合型糖鎖異常を認めるが,IgA1分子の糖鎖異常とIgA腎症発症進展機序については十分に
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