診療支援
治療

M蛋白血症に伴う腎病変
renal diseases associated with monoclonal gammopathy
北舘明宏
(秋田大学大学院講師・血液・腎臓・膠原病内科)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・症候性の多発性骨髄腫・悪性リンパ腫に関連したM蛋白血症に伴う腎障害については,原疾患の治療に準じる.

・MGRSのなかでALアミロイドーシスについては抗CD38抗体ダラツムマブが2021年より新たに保険適用となっており,予後の改善が得られている.

・ALアミロイドーシス以外のMGRSに対する治療については骨髄腫・リンパ腫の治療に準じることが多い.

◆病態と診断

A病態

・多発性骨髄腫を代表とするM蛋白産生疾患においては,M蛋白沈着による種々の腎障害が生じることが知られている.骨髄腫腎が代表的であり,骨髄腫診断事象としても知られる(,「多発性骨髄腫」の項参照).

・一方,通常治療適応とならない意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS:monoclonal gammopathy of undetermined significance)においても,M蛋白の腎への沈着によるALアミロイドーシスや単クローン性免疫グロブリン沈着症(MIDD:monoclonal immunoglobulin deposition disease)といったM蛋白関連腎障害を発症することが明らかとなってきた.そこで,2012年に新たな疾患概念として,MGRS(monoclonal gammopathy of renal significance)が提唱された.血液学的に骨髄腫・リンパ腫の治療介入基準を満たさずとも,M蛋白が強く腎病態に関与している場合,腎保護を目的とした早期治療介入の重要性が強調されている.

B診断

・血清あるいは尿中にM蛋白を認め,腎障害蛋白尿を呈する症例についてはMGRSを疑う必要がある.MGRSの確定診断は基本的に腎生検によるため,腎臓内科と連携をとる必要がある.

◆治療方針

 症候性の多発性骨髄腫・悪性リンパ腫に伴う場合には,原疾患への治療を行う(

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