頻度 あまりみない
GL造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版
治療のポイント
・活動性病変のある早期および進行期が治療の対象となる.
・リンパ球数増多のみでは治療介入はしない.
・身体的状況(fit,unfit,frail)と17p欠失/変異の有無で治療法を選択する.
◆病態と診断
A病態
・成熟B細胞の腫瘍である.
・主に末梢血,骨髄,脾臓,リンパ節に病変が認められる.
・進行が緩徐であり,臨床症状が認められずリンパ球増多のみで経過することも多い.
・進行するにつれて,倦怠感,肝腫大,脾腫,リンパ節腫大とこれらに伴う圧迫症状を呈してくる.
B診断
・モノクローナルなBリンパ球が末梢血中に5,000/μL以上存在し,3か月以上持続する場合,慢性リンパ性白血病(CLL)と診断する.
・クローナリティーは,フローサイトメトリーで確認しなければならない.
・表面マーカーは,CD5,CD19,CD20,CD23,CD79bが陽性である.
・染色体分析で17p欠失が認められれば予後不良である.
・病変が末梢血のみで,CLLの診断基準(モノクローナルなBリンパ球数<5,000/μL)を満たさない場合,単クローン性Bリンパ球増多症とよばれる.
◆治療方針
活動性あるいは症候性となるまで治療は開始しない.CLL国際ワークショップの治療開始基準の概略では,リンパ球増多のみでは治療の適応はなく,リンパ節腫大,肝腫大,脾腫が加われば治療を考慮する.血球減少,活動性病変が認められれば治療の適応となる.
治療法の選択は,身体的な状況と17p欠失/変異の有無がポイントになる.身体的な状況ではfit,unfit,frailのいずれかを評価する.fitであればブルトン型チロシンキナーゼ(BTK:Bruton's tyrosine kinase)阻害薬,FCR療法を選択する.17p欠失がある場合,FCR療法の治療効果は不十分でBTK阻害薬が